目次
- 定着率とは?
- 定着率の計算方法
- 定着率の平均値
- 定着率を高めるメリット
- 定着率が高い会社の特徴
- 定着率が低くなる原因と課題
- 定着率を改善するためのステップ
- 定着率を上げる具体的な方法
- 定着率に関するよくある質問
- 転職エージェントを活用して定着率を向上
- ロバート・ハーフに相談してみませんか?
その他のお役立ちじょう
企業にとって従業員の「定着率」は、組織の安定性や働きやすさを示す重要な指標です。高い定着率を維持できれば、採用コストの削減や生産性の向上につながりますが、低い場合は会社に何か課題がひそんでいる可能性があります。
本記事では、定着率の計算方法や平均値、離職率との違いについて紹介します。また、定着率を改善させる手順や具体的な方法についても解説します。
定着率とは?
定着率とは、一定の期間において、組織に所属し続けている従業員の割合のことです。定着率があると職場環境が安定していると評価され、逆に低い場合は職場に働きづらい要因があると考えられます。
定着率は優秀な人材を確保し、長期的に活躍してもらうための重要な指標となります。入職者数や退職者数のデータを使って、簡単に計算で出すことができます。定着率が低ければ、労働環境の改善や福利厚生の充実、人材育成の強化などの取り組みが必要です。
定着率の重要性
従業員が長く働き続けることは、企業の成長に直結します。仕事のノウハウが積み重なった人材が多くいれば、業務の効率化を図ることができ、培った経験を活かして新しいビジネスにもチャレンジできるでしょう。
定着率が低いと、採用や育成にコストがかかり、業務も滞ってしまいます。新入社員が短期間で退職すると、採用活動を繰り返さなければならず、企業の負担は倍増です。
定着率が近年ますます重視される背景には、少子高齢化の影響で労働人口が減少し、優秀な人材の確保が難しくなっていることが挙げられます。そのため、従業員が働きやすい環境を整え、長く活躍できる職場づくりが必要なのです。
定着率の計算方法
定着率の計算方法は以下の通りです。
定着率(%)= 〇〇年〇月入社で△△年△月も在籍中の従業員数 ÷ 〇〇年〇月入社の従業員数 × 100
定着率を測るには、まず期間を決めておきます。例えば、2022年4月から2025年3月までの定着率を知りたい場合は、2022年4月に入社した従業員数と、そのときと同じ従業員で2025年3月時点も残っている人数のデータが必要です。
2022年4月入社時の従業員が100人で、そのうち2025年3月での在籍数が65人の場合、2022年4月に入社した従業員の定着率は「65÷100×100=65%」となります。
定着率を計算するタイミングと期間
定着率は、厚生労働省などの公的機関では1年区切りで計算されていますが、半年や2年といった区切りで計算しても構いません。また、新卒採用においては3年単位で定着率を分析するのが一般的です。
企業の方針や業界によって適切な期間は異なりますが、短期間の計測だけでは正確な傾向を把握しにくいため、複数の期間で分析するのが望ましいでしょう。
定着率を分析する際の注意点
定着率を分析する際は、単に数値の変動だけを見るのではなく、その背景を考慮することが必要です。
例えば、定着率が低くても、従業員の病気が離職するタイミングとたまたま重なっただけの場合もあります。反対に、定着率が高いからといって必ずしも職場環境が良好とはいえません。あくまで参考データとして捉えておきましょう。
定着率と離職率との違い
離職率は一定の期間内に退職した従業員の割合を示した指標です。簡単にいえば、辞めた人数の割合を表しているのが離職率で、残っている人数の割合を表しているのが定着率です。両者は相関関係にあるため、定着率が高い場合は離職率が低くなります。
離職率は「100%-定着率」で求められますので、定着率が80%の場合、離職率は20%です。
定着率の平均値
定着率の平均値は、企業や業界の実態を把握し、自社の状況を客観的に分析するための重要な指標です。日本全体の傾向だけでなく、就業形態や業界ごとの違いを知ることで、定着率の高低を適切に判断できます。
本記事での定着率は、厚生労働省の資料をもとに「100%-離職率」で算出しました。ただし、厚生労働省の令和5年雇用動向調査結果では、令和5年1月~12月の離職率を「離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100」で計算されています。常用労働者とは1か月以上勤務した労働者のことで、期間中に採用された人も含まれます。そのため、本記事で算出している定着率はおおよその数値であり、あくまで目安としてお考えください。
日本全体の平均定着率
厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、2023年時点の日本全体の平均離職率は15.4%であることから、定着率は約84.6%と見られます。
男女別で見ると、男性は13.8%、女性は17.3%と女性の離職率のほうが高くなっています。離職理由を見ると、女性は結婚や出産など個人的な理由での退職率が男性よりも高く、男性は出向や定年など事業所側の理由が女性よりも高いという結果でした。
参考元:厚生労働省 - 令和5年雇用動向調査結果
就業形態別の平均定着率
就業形態別の平均定着率(2023年)は、以下の通りです。「100% - (厚生労働省 - 令和5年雇用動向調査結果の離職率)」で計算しています。
一般労働者とは、パートタイム労働者以外の労働者のことです。雇用期間の定めのありなしは、一般労働者もパートタイム労働者も含まれています。
一般労働者のほうがパートタイム労働者より定着率が高く、雇用期間の定めがないほうが、雇用期間の定めがあるよりも定着率が高いことがわかります。
| 男
| 女
| 定着率(約)
|
一般労働者
| 89.1%
| 85.8%
| 87.9%
|
パートタイム労働者
| 69.7%
| 78.7%
| 76.2%
|
雇用期間の定めなし
| 89.9%
| 86.2%
| 88.3%
|
雇用期間の定めあり
| 69.0%
| 75.7%
| 73.2%
|
業界別の平均定着率
業界別の平均定着率(2023年)は、以下の通りです。こちらも「100% - (厚生労働省 - 令和5年雇用動向調査結果の離職率)」で計算しています。
業界別で平均定着率を見ると、複合サービス事業が約92.2%と一番高く、生活関連サービス業・娯楽業が約71.9%と一番低くなっています。この2つの差は約20.3%と、業界によって大きく異なることがわかります。複合サービス事業とは、郵便局や協同組合での事業を指します。
定着率を分析するときは、自社と同業界の平均値を比べてみましょう。
業界
| 定着率(約)
|
鉱業、採石業、砂利採取業
| 90.8%
|
建設業
| 89.9%
|
製造業
| 90.3%
|
電気・ガス・熱供給・水道業
| 89.6%
|
情報通信業
| 87.2%
|
運輸業、郵便業
| 89.7%
|
卸売業、小売業
| 85.9%
|
金融業、保険業
| 89.5%
|
不動産業、物品賃貸業
| 83.7%
|
学術研究、専門・技術サービス業
| 88.5%
|
宿泊業、飲食サービス業
| 73.4%
|
生活関連サービス業、娯楽業
| 71.9%
|
教育、学習支援業
| 85.2%
|
医療、福祉
| 85.4%
|
複合サービス事業
| 92.2%
|
サービス業(他に分類されないもの)
| 76.9%
|
新卒の平均定着率
2021年3月に大学を卒業した新卒で、3年以内の離職率は34.9%です。3年以内に3人に1人は離職していることになります。
事業所規模が5人未満の離職率が59.1%なのに対し、1,000人以上は28.2%で、事業規模が大きくなるほど離職率は下がりました。事業規模が大きくなるにつれて、福利厚生や待遇が充実することから社員の定着しやすくなると考えられます。
以下は新卒(大学卒)で3年勤務の定着率です。「100% - (厚生労働省 - 新規学卒就職者の離職状況)」で計算しています。
定着率が一番高い業界は、電気・ガス・熱供給・水道業です。新卒は入社後3年間がとくに辞めやすい期間なので、意識的にフォローすることが大切です。
参考元:厚生労働省 - 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)
| 業界
| 定着率(約)
|
1位
| 電気・ガス・熱供給・水道業
| 87.5%
|
2位
| 鉱業、採石業、砂利採取業
| 87.2%
|
3位
| 製造業
| 79.4%
|
4位
| 情報通信業 / 金融業、保険業
| 70.7%
|
4位
| 金融業、保険業
| 70.7%
|
定着率を高めるメリット
定着率を高めることは、企業にとって多くのメリットをもたらします。例えば、採用や教育にかかるコストを削減できたり、職場の人間関係が安定し、働きやすい環境が整ったりすることなどが挙げられます。定着率を高めるメリットを具体的に見ていきましょう。
優秀な人材を確保できる
定着率の高さは働きやすい環境の証ともいえるため、企業のイメージアップに効果的です。従業員は現在の職場に誇りを持ち、離職を考えなくなります。また、従業員が企業の良さを周囲に伝えることで、優秀な求職者へのアピールになることもあります。リファラル採用などで、コストを抑えながら質の高い人材を得られることも可能でしょう。
採用・人材育成のコストを抑えられる
定着率が高い企業では、新規採用の頻度が少なく、求人広告や面接、入社後の研修などにかかるコストが抑えられます。また、長期的に働く従業員が多いほど研修や教育の効果が持続し、先輩が後輩に教えるといった体制も整うため、人材育成の効率化も期待できるでしょう。
従業員のモチベーションが高まる
定着率が高い職場では、従業員のモチベーションが高まります。周りに退職者が多いとその職場で働く意義を見失ってしまうこともありますが、定着率の高い職場ではメンバーがあまり変わらないため、チームワークが強化されるでしょう。勤務年数が長い従業員がそろっているところでは昇給制度も整っていることが多く、年々勤務条件が向上することもモチベーションの向上になります。
生産性・業績の改善に繋がる
定着率が高い企業では、従業員の熟練度が上がり、組織全体の生産性向上につながります。業務の段取りが身につき、ミスが減ります。自分が担当していない業務も把握できるようになり、チーム全体のパフォーマンスが安定することが大きなメリットです。
定着率が高い会社の特徴
従業員の定着率が高い会社には、長く勤めたくなるだけの魅力が備わっていることが特徴です。どのような特徴があるのか見ていきましょう。
経営状況が安定している
経営状況が安定している企業は、景気の変動による影響を受けにくく、リストラや給与カットのリスクが低くなります。このような企業では、長期的な視点でキャリアを築くことができ、安心して働き続けることができます。
また、業績が好調であれば待遇も向上し、モチベーションの維持にもつながります。将来性のある会社であることを従業員に示せば、人材の流出を避けられるでしょう。
同業他社と比べて待遇がよい
給与が同業他社よりも好条件の会社は、従業員の転職が抑えられ、定着率が高くなる傾向があります。昇給の仕組みが明確で、努力が正当に評価される環境は、モチベーションも維持しやすくなります。
また、福利厚生の充実度も、働き続ける上で重要なポイントです。住宅手当や家族手当がある会社は生活の安定につながり、退職金制度や企業年金などがあれば長期的に職場に留まるようになるでしょう。有給休暇や介護休暇のような休みも、従業員にとって安心材料になります。
人事評価制度が整っている
公平な人事評価制度が整っている会社は、従業員が働きがいを感じられ、定着率の向上につながります。定期的に業務評価のフィードバックがあると、自身の成長が実感でき、目的意識を持って業務に臨めるようになります。努力次第で昇進や昇給の機会が与えられるため、長く働き続けたいと感じる従業員が多くなるでしょう。
評価基準が不透明であったり、上司の主観によって決まったりする環境では、不満を感じる従業員が増え、離職につながることが多くなります。
ワークライフバランスが考慮されている
ワークライフバランスが考慮されている会社は、従業員が無理なく働けるため、定着率も高くなる傾向があります。有給休暇が取得しやすく、リモートワークやフレックスタイム制度の導入にも積極的な会社であれば、働き方の幅が広がりプライベートの時間が確保しやすくなります。
育児や介護など家庭の事情を理由に退職するケースも減少するでしょう。
組織内の風通しがよい
組織内の風通しがよい会社では、従業員が意見を言いやすく、適切に反映される仕組みがあるため定着率が高まります。意見を聞き入れてもらえることで、従業員は会社をより信頼するようになります。また、従業員と経営層がともに働きやすい環境を作ることで、団結力も生まれます。
従業員の意見を聞く会社は、新しいテクノロジーも取り入れやすく、柔軟性のある会社として採用時のアピール材料にもなるでしょう。
人間関係がよく、コミュニケーションが活発
職場の人間関係は、定着率を左右する重要な要素の一つです。社内の雰囲気が良好で、同僚や上司と円滑にコミュニケーションが取れる環境では、業務がスムーズです。反対に、職場の人間関係がギスギスしていたり、ハラスメントが横行していたりすると、精神的な負担が大きくなり、退職を考える人が増えてしまいます。
コミュニケーションの活性化や協力体制の強化を図るには、定期的な社内イベントや交流の機会が設けることが重要です。また、相談しやすい環境が整っていると、悩みやトラブルがあった際にも早期に解決でき、ストレスの軽減につながります。
定着率が低くなる原因と課題
定着率が低い場合は原因や課題を把握し、対策を講じましょう。
労働環境・人間関係が悪い
労働環境が悪い職場では、従業員の心身に負担がかかり、定着率が低下しやすくなります。例えば、長時間労働や休日出勤が常態化している場合、ワークライフバランスが崩れ、働き続けることが困難になります。
また、人間関係の悪化も離職の大きな原因の一つです。上司とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、職場の雰囲気が悪化したりすると、職場にいるだけでストレスになってしまいます。パワハラやセクハラなどの問題は放置することなく、相談窓口を設置するなど早急な解決が必要です。
人事評価の基準が不透明
人事評価の基準が不透明だと、会社への不信感が募ります。同じような成果を上げているのに、一部の従業員だけが優遇されるような状況が続くと、努力をしても無駄だと思うようになるでしょう。
納得のいく評価制度を確立することは、従業員のモチベーションを維持し、定着率を向上させるために欠かせない要素となります。評価の根拠を面談などの際にきちんと説明することが大切です。
会社の将来性が感じられない
将来性が感じられない会社は、離職を考える要因になります。業績が低迷していれば、給与の減額やリストラのリスクが高まるため、安定を求めて転職するケースも少なくありません。
企業が成長し続けるためには、新しいビジネスチャンスを模索し、従業員に対しても安定した雇用環境を提供することが重要です。また、すぐには安定した待遇が用意できない場合も、会社の状況や展望を丁寧に説明し、従業員との信頼構築に努めるとよいでしょう。
キャリアアップやスキルアップに繋がらない
キャリアアップやスキルアップに繋がらない会社では、従業員のモチベーションが低下しかねません。一定の期間ごとに、従業員の業務内容を見直してみるとよいでしょう。少しずつ業務のレベルを上げるとともに、給与アップを考慮することも大切です。
研修制度や社内でのキャリアパスが整っていると、その会社での将来の展望を描けるようになります。
入社前のイメージと実際の仕事内容にギャップがある
採用時に伝えられた仕事内容と、実際の業務内容に大きな違いがある場合、早期離職の原因となります。従来は会社が配属先を決めるのが主流でしたが、近年は応募者自身が仕事内容を決めたいと思う傾向が強くなっています。新卒で3年以内にやめた理由のトップが、希望と実際の業務内容とのミスマッチであったというデータもあります。
入社後のミスマッチを防ぐためには、企業側が採用時に業務内容や職場の雰囲気など、多面的に情報を伝えることが不可欠です。
定着率を改善するためのステップ
従業員の定着率を改善するためには、現状を正しく把握し、具体的な対策を講じることが重要です。まずは、自社の定着率や離職の原因を分析し、どのような課題が存在するのかを明確にする必要があります。継続的に取り組みを行い、従業員が安心して長く働ける職場の実現を目指しましょう。
自社の定着率を知る
定着率を改善するためには、現状を正しく理解することが重要です。まずは、自社の定着率がどの程度なのか、業界平均と比較して高いのか低いのかを確認しましょう。また、正確な分析ができるよう部署別、ポジション別、勤続年数別、入社方法別などでもデータを整理しておきます。
従業員へのアンケート調査や人事面談などで分析する
定着率を把握できたら、データの背景を探ります。まずは、病気や定年など退職理由がはっきりわかるものをカウントします。残りの退職理由が不明確なものについては、直接従業員の声を聴くことが方法の一つです。従業員エンゲージメント調査、従業員満足度調査(ES調査)などの社内アンケート調査があります。
また、必要に応じて個別の面談を実施することで、データだけでは見えてこない人間関係の問題も明らかになる可能性があります。こうした取り組みを行うことで、会社が社員の声を大切にしているという姿勢が伝わり、エンゲージメント向上にもつながるでしょう。
従業員へのアンケート調査や人事面談などで分析する
定着率を把握できたら、データの背景を探ります。まずは、病気や定年など退職理由がはっきりわかるものをカウントします。残りの退職理由が不明確なものについては、直接従業員の声を聴くことが方法の一つです。従業員エンゲージメント調査、従業員満足度調査(ES調査)などの社内アンケート調査があります。
また、必要に応じて個別の面談を実施することで、データだけでは見えてこない人間関係の問題も明らかになる可能性があります。こうした取り組みを行うことで、会社が社員の声を大切にしているという姿勢が伝わり、エンゲージメント向上にもつながるでしょう。
改善策の検討・実施
課題が明確になれば、解決するための具体的な改善策を検討・実施することが重要です。例えば、離職の原因が労働環境にある場合は、業務の見直しや労働時間の適正化を進めることが求められます。また、評価制度に不満を感じる従業員が多い場合は、透明性を高めるための仕組みを導入するとよいでしょう。改善策については、後述する「定着率を上げる具体的な方法」でも紹介しています。
定期的な調査と振り返り
改善策を実施した後は、定期的に効果を振り返り、必要に応じてさらなる改善を加えることが重要です。離職率の推移をチェックしたり、半年ごとに社員満足度のアンケートを実施したりします。改善策の効果が得られない場合は、別の方法を試すなど、柔軟な対応が必要です。
定着率を上げる具体的な方法
従業員の定着率を向上させるためには、採用段階から採用後のキャリア支援まで、総合的な取り組みが求められます。定着率を上げる具体的な方法について解説します。
採用プロセスを見直す
まずは、採用段階でのミスマッチを防ぐことが重要です。入社後に企業文化や社風が合わないという理由で早期退職する人は少なくありません。
採用時に以下のような工夫をし、企業側も求職者側もお互いの相性を判断しましょう。
業務内容や職場の雰囲気、キャリアパスについての具体的な説明
職場の見学会の開催
仕事のお試し期間の設置
企業との相性を見極めるための適正テストの実施
また、面接ではスキルや経験だけでなく、価値観や適性も重視し、企業との相性を見極めることが大切です。必要に応じて入社前に適正テストを行うなど採用方法を見直すことも検討しましょう。
労働環境を改善する
従業員の定着率を向上させるには、労働環境の改善が欠かせません。長時間労働により退職するケースは多くあります。業務の効率化を進め、無駄な作業を削減することが重要です。また、近年では、ワークライフバランスを重視する従業員が増えていますので、多様な働き方を取り入れることも効果的です。以下のような取り組みが考えられます。
業務分担の見直し
業務効率化のためのツールの使用
残業をしない日の設置
リモートワークの導入
フレックスタイム制の導入
有給休暇や育児休暇の取得の促進
労働・オフィス環境を改善方法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:労働・オフィス環境を改善する6つの方法
給与や福利厚生などの待遇を充実させる
給与や福利厚生が充実している企業ほど、従業員の定着率が高い傾向があります。労働に対して適正な報酬が支払われていないと、よりよい条件を求めて転職を考えるようになります。
定期的に給与を見直し、業界水準や市場の変化に応じた適切な報酬を設定することが重要です。給与水準の見直しには、ロバート・ハーフの年収ガイドが役立ちます。年収ガイドでは、給与水準や採用市場に関する最新動向をはじめ、今後の採用に役立つ情報を提供しています。
人事評価制度を見直す
評価基準があいまいだと、従業員はどこに向かって努力を続けたらいいかわからなくなってしまいます。人事評価制度を見直して、公平で透明性のあるものを目指しましょう。
評価基準を明確にし、従業員に説明することが重要です。昇進や昇給のプロセスがわかれば目標を立てやすくなり、同じ職場で長く働き続けたいと思えるようになります。
人材育成やキャリア制度を強化する
人事評価制度で目標が明確になっても、取り組み方が分からない場合もあります。そこで、スキルアップの機会を提供することで、人事評価に沿った目標に向かって実践的に努力することができます。自身の成長が実感できれば、モチベーション向上が図れるでしょう。とくに、若手社員にはメンター制度で成長をサポートする仕組みを作ると効果的です。
定期的な研修の実施
eラーニング
資格取得支援制度
メンター制度
人材配置を最適化する
適材適所の人材配置をすることは、従業員の満足度を向上させ、定着率の改善につながります。仕事内容が合っていないと仕事に対するやりがいや達成感を感じにくくなり、転職を選んでしまうことは少なくありません。
個々のスキルや経験を年度ごとに見直しましょう。キャリア志向についてアンケートをとったり、定期的な面談で従業員の希望を聞いたり、研修の様子から判断したりする方法もあります。
社内のコミュニケーションを促進する
良好な人間関係は定着率の向上と直結するため、社内のコミュニケーションを促進することが重要です。チームワークの強化になり、帰属意識も生まれます。上司と部下であれば定期的な1on1ミーティング、従業員同士なら社内イベントや交流会がよいでしょう。
休憩場所の設置
社内イベントや交流会の開催
リモートワーク用にチャットツールの導入
オンラインミーティングの開催
定着率に関するよくある質問
定着率に関するよくある質問を紹介します。
定着率が計算できない場合は?
定着率が計算できない原因は、データが不足していることが考えられます。まず従業員の入社日や退職日を記録する仕組みを整えることが重要です。
簡単なエクセルシートや人事管理ツールを活用することで、データを整理しやすくなります。また、短期間のデータだけでなく、1年や3年といった期間での傾向を把握することも大切です。定着率を正しく計算することで、自社の現状を把握し、適切な改善策を検討できるようになるでしょう。
定着率を出しても何をすればいいか分からないんですが…。
定着率を出すだけでは、具体的な改善策は見つかりません。従業員に対するアンケート調査などでより詳細なデータを収集し、どのような要因が離職につながっているのかを探ります。退職者へのヒアリングも方法としてありますが、すでに退職を決めている人に聞くのは難しい場合もあります。普段から現場の情報を収集することが大切です。
離職の原因が明らかになれば、それに応じた施策を実施することで定着率向上につなげられるでしょう。
定着率は高ければ高いほどいいですか?
定着率が高いことは一般的にはよいことですが、必ずしも高ければ高いほどよいとは限りません。極端に定着率が高い場合、新しい人材が入りにくく、組織の流れが停滞するリスクもあります。
企業の成長には、新しい視点を持つ人材の採用が重要です。理想的な定着率は業界や企業の状況によって異なりますが、単に高ければよいと考えるのではなく、適度な流動性を維持するように心がけましょう。
求職者は企業の定着率をどのように調べることができますか?
求職者が企業の定着率を調べる場合、企業の公式サイトや採用ページに記載されている情報を確認するのが一般的です。その他にも、口コミサイトや転職サイトをチェックしたり、面接時に質問したりする方法があります。
転職エージェントを活用して定着率を向上
企業が定着率を向上させるためには、採用の段階でミスマッチを防ぐことが重要です。そのための手段の一つとして、転職エージェントの活用が挙げられます。転職エージェントは、求職者のスキルや希望を正しく把握し、企業の求める人材像とマッチングさせる役割を担っています。
採用のミスマッチを防ぐためのノウハウを持っている
転職エージェントは、求職者と企業双方の要望や課題を引き出し、互いの理解を促すためのサポートをします。両者の間を取り持つため、給与のことなど直接聞きづらいことも双方から話題に出すことができ、ミスマッチ防止につながります。
また、業界の給与相場など市場の動向も押さえられるため、企業が視野を広げて客観的に採用基準を見直すきっかけにもなるでしょう。
企業の採用課題を理解し、適切な人材を紹介できる
転職エージェントは、企業が抱える採用課題を深く理解し、それに適した人材を紹介するのが役割です。企業の事業内容や組織構造、将来の成長戦略に加え、過去の採用データや他社の事例なども考慮しながら、課題の根本となる原因や適した人材を見極めます。
また、転職エージェントに登録している求職者は、仕事に熱意を持っている人が多いです。質の高い人材獲得のためにも転職エージェントは効果的といえます。
面接時のサポートや入社後のフォローアップを実施している
転職エージェントは、求職者に対して、面接時のサポートや入社後のフォローアップも行っています。履歴書の添削や面接対策の他、入社後も定期的に職場環境や業務への適応状況を確認することで、早期退職を防止します。
企業側に対しては、面接日程のスケジューリングや合否結果の通知の代行を請け負うことで、採用負担を減らす役割を果たします。日常の業務と並行して、無理なく採用活動ができるでしょう。
ロバート・ハーフに相談してみませんか?
採用のご相談はこちら
定着率を上げるには採用プロセスの見直し、労働環境の改善、人材教育やキャリア制度の強化など、様々な方法があります。まずは、自社の定着率や離職理由を分析することから始めましょう。
採用の段階でミスマッチを防ぎたい場合、転職エージェントの活用も方法の一つです。ロバート・ハーフは、外資系・日系グローバル企業への転職支援実績が豊富にあります。これまで蓄積されたノウハウから、企業に合う人材を紹介します。採用のことでお困りでしたら、ぜひご相談ください。