目次
- 平均勤続年数とは?
- 平均勤続年数の計算方法
- 日本国内の平均勤続年数
- 企業の勤続年数を調べる方法
- 平均勤続年数が長い企業の特徴
- 平均勤続年数が長いほど働きやすい会社?
- 平均勤続年数が短い企業の特徴
- 平均勤続年数が短い=ブラック企業とは限らない
- 平均勤続年数と合わせて確認したい指標
- 働きやすい企業・自分に合う企業の探し方
- 【企業向け】平均勤続年数と他の指標から分かる課題
- 平均勤続年数を伸ばすための施策
- 平均勤続年数が長い企業の取り組み事例
- 転職エージェントと提携するメリット
- 平均勤続年数に関するよくある質問
- ロバート・ハーフに相談してみませんか?
その他のお役立ちじょう
平均勤続年数は、従業員がどれくらいの期間働いているかを示す重要な指標です。平均勤続年数が短いことはマイナスかというと、一概にそうではありません。創業したばかりの企業や、新入社員の多い企業では短くなる傾向があります。
本記事では、平均勤続年数の目安や計算方法、合わせて確認したい指標などを紹介します。
平均勤続年数とは?
平均勤続年数とは、給与を受け取っている全従業員の勤務年数を平均した数値のことです。平均勤続年数から、従業員の定着具合や職場の働きやすさを推測できます。
平均勤続年数が長いほうが、従業員が定着している良好な職場とされるのが一般的です。しかし、場合によってはそうとも限りません。例えば、新入社員の人数が多かったり、創業したばかりだったりする企業では平均勤続年数が短くなります。そのため、平均勤続年数を参考にするときは、他の要素も考慮することが重要です。
平均勤続年数の計算方法
平均勤続年数は、国税庁の定義を参考にすると以下の計算式で算出されます。
平均勤続年数 = 給与所得者の12月31日時点での勤続年数 ÷ 給与所得者数
12月31日時点で1年未満の端数は切り捨てます。例えば、2023年4月1日に入社し、2025年3月31日現在も勤務している場合は、実際の勤続年数は「2年」です。しかし、計算で使用する場合は、12月31日時点の1年9か月から端数を捨てた「1年」が勤続年数となります。
5人の従業員がそれぞれ10年、8年、5年、3年、2年勤めている場合、合計は28年となり、平均勤続年数は5.6年です。従業員は給与所得者に限るため、給与をもらっていない休職者などは含まれません。
参考元:国税庁│民間給与実態統計調査
日本全体の平均勤続年数
国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、国内の2023年の平均継続年数は12.5年です。男性は14.1年、女性は10.3年です。2014年から10年間は平均勤続年数にあまり変化がありません。
業界によって平均勤続年数には差があります。また、同じ業界であっても性別で倍近く異なる業界もあります。平均勤続年数を参考にするときは、業界の平均と比べ、性別によってその平均を上回るか下回るかも推測すると良いでしょう。
参考元:国税庁|民間給与実態統計調査
| 男性
| 女性
| 男女計
|
私鉄・バス
| 20.4年
| 10.6年
| 21.3年
|
百貨店・スーパー
| 21.5年
| 21.1年
| 21.3年
|
電力
| 20.5年
| 18.2年
| 20.2年
|
ガス
| 19.4年
| 20.4年
| 19.6年
|
運輸・交通
| 19.3年
| 15.2年
| 18.4年
|
新聞・放送
| 19.3年
| 12.5年
| 17.6年
|
ホテル・旅行
| 19.7年
| 13.4年
| 17.2年
|
建設
| 17.5年
| 15.1年
| 17.1年
|
商事
| 17.3年
| 15.8年
| 16.9年
|
製造業
| 17.3年
| 15.0年
| 16.9年
|
飲食・娯楽
| 17.5年
| 7.0年
| 15.8年
|
海運・倉庫
| 14.3年
| 15.1年
| 14.6年
|
鉱業
| 15.0年
| 11.1年
| 14.5年
|
銀行・保険
| 17.8年
| 14.2年
| 14.2年
|
参考元:「家計調査結果」(総務省統計局)
企業の平均勤続年数を調べる方法
企業の平均勤続年数は、就活サイトや転職エージェント、企業が発行している公的資料などを活用することで、信頼性の高いデータを得ることが可能です。
就活・転職サイト
就活・転職サイトは、求人情報が検索できるサイトです。「土日祝休み」「語学力が活かせる」など条件をしぼって検索することができます。求人情報には、仕事内容や求める人物像、会社情報、従業員のコメントなどがあり、企業の特徴を網羅的につかむことができます。
平均勤続年数は、すべての求人情報に掲載されているわけではありません。平均勤続年数が長い場合は定着の良さをアピールになるため、掲載されることもあります。
就職四季報
就職四季報は、東洋経済新報社が発行している企業データブックです。掲載企業数が多く、各社の平均勤続年数や離職率、採用人数、平均年収などが詳細に記載されています。総合版、女子版、優良・中堅企業版などがあり、自分の志望業界やキャリアの方向性に合わせて使い分けが可能です。
情報は企業への独自調査に基づいており、正確性が高いのも特徴です。また、紙媒体だけでなく電子版もあるため、気になる企業の情報を効率よくリサーチできます。
有価証券報告書
上場企業の平均勤続年数を調べたい場合、有価証券報告書は非常に有用な情報源です。これは金融商品取引法に基づき、上場企業が年に一度提出を義務付けられている公的な文書です。投資家向けに企業の経営情報や財務状況などが詳細に記されています。
報告書の「従業員の状況」欄には、平均年齢・平均年収・平均勤続年数が明記されており、企業の定着率を把握するうえで信頼できるデータとなります。閲覧するには「EDINET」という金融庁の公式サイトを利用すると便利です。
無料で誰でもアクセスできるため、就活生や転職希望者にとっても貴重なリサーチツールになります。
転職エージェント・人材紹介会社に聞く
転職エージェントや人材紹介会社を利用することで、一般には公開されていない企業情報を得られる場合があります。例えば、平均勤続年数をはじめ、業界の内部事情や企業の離職率、職場の雰囲気などです。
平均勤続年数のみでは働きやすさは分かりませんが、多面的な情報をエージェントから得ることで企業の良し悪しが判断できます。また、自分のキャリアや希望条件に合った企業を非公開求人からも幅広く紹介してもらえるため、納得のいく企業選びができるでしょう。
平均勤続年数が長い企業の特徴
平均勤続年数が長い企業には、従業員が長く働きたいと感じる魅力的な環境を整えていることが多いです。平均勤続年数が長い企業に見られる特徴を紹介します。
業績が安定している
業績が安定している企業は、平均勤続年数が長くなる傾向にあります。リストラのリスクが低く、従業員にとって安心して働き続ける環境が整っているためであると考えられます。また、業績が良好な企業はボーナスや昇給の面でも社員に還元されやすく、モチベーションの維持にもつながります。反対に、業績が不安定な企業では離職率が高まりやすく、勤続年数も短くなるでしょう。
経営期間が長い
長年にわたって事業を継続している企業は、組織としてのノウハウも蓄積され、経営基盤がしっかり築かれています。教育体制や労働環境が整備されており、従業員が長く働きやすい職場環境が整っていることが特徴です。
また、社内にロールモデルが多いことや、安定したキャリアパスが用意されていることも、長期就業につながる要因の一つです。
給与制度や福利厚生が充実している
給与制度や福利厚生の充実度は、平均勤続年数に大きく影響を与える要素の一つです。基本給の水準が高いことに加え、賞与・昇給制度が明確であれば、従業員のモチベーションも維持されるでしょう。また、住宅手当・家族手当・退職金制度などが整っている企業では、ライフステージに応じた働き方が実現しやすいため、長く働きたいと感じる人が多くなります。
キャリア・スキルアップできる環境が整っている
キャリアアップやスキル向上の機会が多い企業では従業員が目標を持つことができ、その企業に所属する意義が理解できるようになります。研修制度や資格取得支援制度の他、ジョブローテーション制度や社内異動など同じ企業内でキャリア転換のチャンスがあると、平均勤続年数が長くなる傾向があります。
平均勤続年数が長いほど働きやすい会社?
平均勤続年数が長い企業は、働きやすい環境が整っているケースが多いです。ただし、数値が高いからといって必ずしも働きやすい企業とは限りません。
例えば、また、年功序列の文化が根付いているキャリアアップを重視する人にとっては、物足りなさを感じる
勤続年数だけを鵜呑みにするのではなく、自分のキャリアビジョンに合った企業であるかを見極めることが重要です。他の指標や企業の風土にも目を向け、総合的に判断しましょう。
平均勤続年数が短い企業の特徴
若手が多い場合や業界自体が流動的な場合、勤続年数は短くなる傾向があります。平均勤続年数が短い企業に見られる特徴を紹介します。
創業したばかりの企業
創業したばかりの企業は、設立からの年数が浅いため、平均勤続年数が短いです。例えば、設立4年目の企業であれば、どんなに長く働いていても勤続年数は最大で3年になります。
事業拡大に取り組んでいる
事業を急拡大している企業は、平均勤続年数が短くなることがあります。採用活動を積極的に行うことで、新たな人材が増えるためです。
成長フェーズにある企業といえますが、職場環境が落ち着いていない可能性もあるため、従業員の入れ替わりが増えて平均勤続年数にさらに影響するかもしれません。
新入社員・若手社員が多い
新入社員や若手社員が多く在籍している企業では、平均勤続年数が短いのが自然です。特に少人数で運営している企業では、わずかな人数の採用でも新しい従業員の占める割合が高くなります。
転職・独立しやすい業界
IT業界や広告業界、コンサルティング業界など、高いスキルが要求される業界の職種は需要が高いため、転職や独立により勤続年数が短くなる傾向があります。こうした業界では、平均勤続年数の短さが必ずしも職場環境の悪さを示すものではなく、自立志向が高い人にとっては魅力的な環境です。
平均勤続年数が短い=ブラック企業とは限らない
平均勤続年数が短いからといって、必ずしもブラック企業であるとは限りません。創業から間もない企業や、採用を積極的に行っている成長企業では、従業員の在籍年数が短いのは自然なことです。
企業の実態を見極めるためには、採用人数や企業の設立年といった他の指標にも目を向けましょう。会社の魅力や将来性も含めて総合的に判断することが、後悔しない企業選びにつながります。
平均勤続年数と合わせて確認したい指標
平均勤続年数だけで職場の実態を判断するのは不十分です。働きやすさや企業の安定性をより正確に把握するには、他の指標とあわせて確認することが重要です。
平均在籍年数
平均在籍年数は、従業員が在職していた期間の平均を示す指標です。勤続年数は現在在籍している従業員が対象であるのに対し、在籍年数は退職者が対象であることが大きな違いです。
平均勤続年数には新入社員も加わってしまいますが、平均在籍年数は従業員が最終的にどのくらい勤務したかが分かるため、より企業での定着度が判断しやすくなります。
3年以内の離職率
3年以内の離職率は、新しい従業員の定着状況を把握するために役立つ指標です。この数値が高い場合、入社してから短期間で辞めてしまう従業員が多いことを意味します。早期退職の理由として多いのは、人間関係や労働条件が良くなかったことなどが挙げられます。
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、新卒(大卒)の約3割が3年以内に離職しています。一定の離職はどの業界にもあるものですが、業界平均よりも極端に高い場合は注意が必要です。業界ごとの3年以内の離職率も、以下の厚生労働省の資料から参照できます。
参考元:新規学卒就職者の離職状況(厚生労働省)
採用人数
採用人数の推移は、企業の成長性や組織の変化を読み解くために必要なデータです。採用人数を増やしている企業があります。採用数が多ければ、勤続年数の平均が下がるのは自然なことのため、勤続年数とセットでチェックすることで、より正確な企業理解につながります。
企業の設立年月日・沿革・業績
企業の設立年月日や沿革、業績の推移は、その企業がどれだけ安定した運営をしているかを把握する手がかりになります。設立して間もない企業であれば、平均勤続年数が短いのは当然です。
また、沿革や業績を確認することで、企業規模や安定性が推測できます。業績が安定している企業は、給与や福利厚生の改善、働く環境の整備にも積極的であることが多いです。一方、赤字が続いている企業では、採用や人件費の削減が行われている可能性もあります。
働きやすい企業・自分に合う企業の探し方
働きやすい企業や、自分に合った職場を見つけるには、情報を網羅するだけでなく、情報から企業の本質を多角的に理解することが大切です。企業探しのポイントを紹介します。
企業理解を深める
企業選びで後悔しないためには、企業の事業内容やビジョン、社風までしっかり理解することが重要です。企業の公式サイトの他、就職四季報や転職サイトの企業レビューも有益です。社風は、会社説明会や見学会、企業のSNS、面接相手の雰囲気などから推測できます。
もし平均勤続年数が短かったとしても、会社にしかない魅力や仕事のやりがいがある場合や、自分のキャリアや経験にプラスになる環境であれば応募する価値はあります。
仕事内容や待遇を確認する
働きやすさを判断するうえで、仕事内容や待遇の確認は欠かせません。自分が任される業務内容が明確であるか、また成長機会があるかを確認しましょう。仕事内容が曖昧な場合、入社後に思っていた仕事と違ったと感じる可能性があります。面接時や内定承諾前に確認しておきましょう。
給与は業界の平均や自分のスキルなども考慮し、妥当かどうかを判断します。ワークライフバランスを重視する人は、年間休日数や有給取得率もチェックしておくと安心です。
自分のキャリアプランやゴールについて整理する
どれだけ働きやすい企業であっても、自分のキャリアプランや目標に合っていなければ、長期的な満足につながりません。自分が今後どのようなスキルを身につけたいか、どんな働き方をしたいかを明確することが大切です。
そのうえで、企業がそのキャリアプランに対してどのようなサポートを用意しているのかを確認しましょう。例えば、教育制度の充実度やジョブローテーションの有無、社内公募制度などが挙げられます。また、将来的な昇進・昇格の可能性やキャリアパスの明確さもポイントです。
転職エージェントに相談する
転職エージェントは、転職活動全般をサポートしてくれる強い味方です。求人情報の紹介だけでなく、社風や働いている人たちの印象など、求人にはない企業情報を豊富に取りそろえています。業界全体や職種別の傾向や適性も踏まえてアドバイスがもらえるため、納得した企業選びが可能です。
転職エージェント「ロバート・ハーフ」からのアドバイス
採用のご相談はこちら
転職エージェント「ロバート・ハーフ」は、外資系・日系グローバル企業への転職支援実績が豊富にあります。ロバート・ハーフ転職サポート担当者からのアドバイスを紹介します。
「平均勤続年数は企業の雰囲気や働きやすさを知るうえで参考になる情報ですが、あくまで多くある判断材料の一つにすぎません。その数字だけで良し悪しを判断するのはリスクがあるため、他の要素と組み合わせて総合的に判断することが大切です。まずは、現在の職場でうまくいっている点、気に入っている点を整理してみましょう。同時に、不満に感じている点や課題も明確にしておくと、自分に合った企業を探す際の指針になります。そのうえで、次に目指したい働き方やキャリア、職場環境などの希望条件に優先順位をつけ、リストアップしてみてください。そのリストをもとに求人を探したり、転職エージェントに相談したりすることで、理想に近い企業と出会いやすくなります。私たちエージェントは企業の採用担当者と日常的にやりとりしており、求人票には書かれていない社風やカルチャー、人間関係などの情報も把握しています。自分一人で情報収集を進めるのに限界を感じたときや、より自分に合った企業を見つけたいときなどは、転職エージェントを上手く活用してください。」
【企業向け】平均勤続年数と他の指標から分かる課題
平均勤続年数は、他の指標と併せることで企業の課題発見にも応用できます。
組織全体の生産性
会社の創業から時間が経っているにも関わらず平均勤続年数が短い場合は、業務の流れを熟知した人材が足りず、生産性が低い可能性があります。ノウハウの蓄積や継承も行われなくなり、安定したパフォーマンスが難しくなるでしょう。また、採用活動を頻繁に行わなければならず他の業務がおろそかになってしまうことも、生産性を下げる要因です。
従業員満足度
従業員が長く勤務しているということは、従業員が職場に満足していることを意味します。企業のどのような点にメリットを感じているのか、逆に何に不満を持っているのかを知り、改善策を実行することで安定した人材確保が可能になります。
採用活動のミスマッチ
新入社員が少ないにも関わらず平均勤続年数が短いところは、採用のミスマッチが起こっている可能性があります。仕事内容や勤務条件が採用の前後で変わっていないか確かめましょう。人間関係がよくないことも早期退職につながるため、メンター制度などを設ける必要があります。
新入社員とベテラン社員のバランス
平均勤続年数は、他の数値と併せて見ることで、社内の人材のバランスを表すこともあります。例えば、平均勤続年数が長く新入社員の割合が極端に低い場合は、ベテラン社員に偏っていることが分かります。長期的に見て、人材育成の停滞や組織の高齢化につながるリスクをはらんでいることが課題です。一方で、ある程度の事業期間を持っているのに平均勤続年数が短い企業では新入社員に偏っているため、業務のノウハウが蓄積されていないと考えられます。
平均勤続年数を伸ばすための施策
平均勤続年数の長さは、企業の安定性や魅力を示すうえで非常に重要です。平均勤続年数を伸ばすために企業が取り組むべき4つの具体的な施策について解説します。
給与水準・福利厚生を見直す
従業員が長く働き続けるためには、納得のいく給与と安心して生活できる福利厚生の仕組みが欠かせません。給与は働くモチベーションに直結する要素であり、同業他社と比べて著しく低い場合、転職を検討する要因になります。競争力のある給与水準を維持することで、従業員の定着率は向上します。
給与水準を見直す際は、ロバート・ハーフの年収ガイドがおすすめです。年収ガイドでは、採用活動に活かせるよう、テクノロジー(IT)、経理・会計・財務、金融サービス、業務改革(DX)、人事、サプライチェーン(SCM)の業界ごとの最新給与水準と、市場動向について詳しく紹介しています。
福利厚生制度は使いやすさも重要です。制度があっても、実際に利用しにくい環境であれば意味がありません。従業員が気兼ねなく制度を活用できるように、社内での周知や利用促進の仕組みを整えることが求められます。
労働環境を改善する
いくら給与が高くても、劣悪な労働環境では従業員のストレスが増し、早期離職につながるリスクが高まります。そのため、快適かつ安全に働ける環境を整えることが重要です。
残業が常態化している職場では、従業員の心身に負担がかかり、モチベーションの低下を招きます。業務の見直しや業務効率化ツールの導入により、長時間労働の是正が必要です。
また、テレワーク制度やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を導入することで、ライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。特に子育てや介護をしている従業員にとっては、柔軟な勤務体制が継続的な就業を支えます。
キャリア支援のサポートを充実させる
従業員が将来に希望を持って働き続けるためには、キャリア支援の充実が不可欠です。具体的には、社内研修や外部セミナーへの参加を積極的に支援する体制を整えましょう。専門スキルやマネジメント能力を磨ける機会が多い企業は、従業員の成長意欲を引き出しやすくなります。
近年では、自律的なキャリア形成を支援する取り組みが注目されています。企業が一方的に育成するのではなく、従業員自身が主体的に学び続けられるような仕組みを設けることが重要です。
従業員や退職者向けのアンケート調査を実施する
平均勤続年数を改善するためには、現場の声を正確に把握することが重要です。そのために有効なのが、従業員や退職者を対象としたアンケート調査です。実際に働いている、あるいは働いていた人たちの意見から、職場の課題や改善点を具体的に把握できます。
アンケートの結果は、社内で共有し、従業員にフィードバックすることが信頼構築につながります。従業員の声を反映してくれる会社という意識が浸透すれば、従業員のロイヤリティも高まるでしょう。従業員の離職を防ぐ取り組みであるリテンションマネジメントについては、以下の記事をご覧ください。
関連記事:リテンションマネジメントとは?基礎知識や施策、企業事例を詳しく解説
平均勤続年数が長い企業の取り組み事例
従業員の定着率を高め、平均勤続年数を伸ばすには、制度や環境を整える企業側の工夫が欠かせません。ここでは、実際に平均勤続年数の向上につながった企業の具体的な取り組みを紹介します。
道路貨物運送業T社の取り組み事例
道路貨物運送業T社が取り組んだ施策は、ジョブローテーションの導入と有給休暇取得の促進です。
ジョブローテーション制度により社員のキャリア形成ができるだけでなく、仕事を共に成し遂げようという連帯感にもつながっています。また、年次有給休暇の取得率が2017年の16%から、2019年には80%へと大幅に向上しました。
社内の風通しを良くし、子育てとも両立しやすい環境を整えたことで、平均勤続年数を伸ばした事例です。
地域ブランディング事業Y社の取り組み事例
地域ブランディング事業Y社は、女性社員の平均勤続年数が短いという課題を抱えていました。そこで、取り組んだのが育児と仕事の両立支援です。
具体的には、育児休業制度や短時間勤務制度を法定以上の長さに整備しました。また、経営層と若手社員が経営について考える場を設けたり、フリーアドレスを導入したりするなど、社員が意見を出しやすい雰囲気作りにも力を入れました。
このような取り組みにより、離職率の低下と平均勤続年数の向上という成果につながったのです。
参考元:働き方改革取組事例集(厚生労働省)
転職エージェントと提携するメリット
平均勤続年数を改善する手段として、転職エージェントとの連携が有効です。転職エージェントと提携するメリットについて紹介します。
採用のミスマッチを減らす
平均勤続年数を改善するには、早期退職につながる採用のミスマッチを減らすことが重要です。短期間で離職する人が多ければ、職場に長く勤める人材が育たず、業務が回らなくなってしまいます。
転職エージェントは企業の採用ニーズやカルチャーに適した人材を厳選し、ミスマッチを防ぐ役割を果たします。企業側からは見えにくい求職者の本音や価値観を踏まえたマッチングができるため、結果として入社後の定着率が高まります。
自社の魅力を効率的にアピールできる
柔軟な働き方やキャリア支援制度、社内の雰囲気や働きがいといった要素も、求職者が企業を選ぶ際の重要な判断材料です。転職エージェントは業界全体の動きも把握しているため、多面的な視点で自社の特徴を知ることができます。自社では気づかなかった魅力も掘り起こせるかもしれません。また、エージェントは求職者に合わせたアピールもできます。
候補者・内定者のフィードバックがもらえる
通常の採用活動では、面接を辞退した理由や選考で感じた印象などを把握するのは困難です。しかし、エージェント経由であれば、こうした声を間接的に収集することが可能です。
候補者・内定者の率直な意見は、企業が採用改善を行ううえで貴重な材料となります。また、選考の進め方や面接官の対応に関するフィードバックも、応募者満足度を高めるためのヒントになります。これらの情報を活用することで、採用プロセスの質を継続的に高めていくことができるのです。
転職エージェント「ロバート・ハーフ」からのアドバイス
転職エージェントであるロバート・ハーフの人材紹介担当者は、以下のようにアドバイスしています。
「平均勤続年数を伸ばすためには、採用の段階で企業と求職者の間にあるミスマッチやギャップをなくすことが重要です。会社の魅力や文化を求職者にしっかり伝えることが求められます。また、企業側では気づきにくい部分や求職者が知りたがっている企業の強み、競合他社にはない特徴を転職エージェントと一緒に整理することで、候補者にとって魅力的な情報を届けられます。」
平均勤続年数に関するよくある質問
平均勤続年数に関するよくある質問を見ていきましょう。
中小企業と大企業の平均勤続年数の違いは?
一般的に、大企業のほうが中小企業より平均勤続年数が長い傾向にあります。大企業の子会社も平均勤続年数が長いことが多いことから、福利厚生や職場環境が整っているためと見られます。
しかし、大企業でも新卒採用が活発で平均勤続年数が短いケースや、中小企業でも福利厚生が手厚く平均勤続年数が長いケースもあります。
IT業界の平均勤続年数が短いのはなぜですか?
IT業界の平均勤続年数が短い主な理由としては、業界の急速な進化と技術革新があるからです。新しい技術やトレンドが次々に登場するため、複数の企業で多くのスキルを身につけようと転職を選択する人もいます。
また、スキルの高い人材は需要が高く好条件で転職できることや、フリーランスや独立など柔軟な働き方が増えていることも、短期的な勤続につながっています。
優秀な人材を確保するために、勤続年数以外で企業がアピールすべきポイントは?
企業が優秀な人材を確保するためには、勤続年数だけでなく、他にも多くの魅力的なポイントをアピールすることが重要です。給与や福利厚生が充実していること以外にも、柔軟な働き方を提供していること、環境への配慮をした商品開発をしていることなど、自社ならではの取り組みをアピールしましょう。
人材流出を防ぐ方法については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:優秀な社員が辞める兆候を見抜き、人材流出を防ぐ5つの方法
ロバート・ハーフに相談してみませんか?
採用のご相談はこちら
平均勤続年数は、従業員がどれくらい長く働いているかを示す指標です。業界ごとの平均値を基に、企業の平均勤続年数が長いか短いかを見てみましょう。ただし、平均勤続年数だけでは、企業のすべてを判断しきれません。
ロバート・ハーフは、外資系・日系グローバル企業への転職支援実績が豊富にあります。社風や離職率など、求人情報にはない情報もご用意しています。転職活動のことでお困りでしたら、ぜひご相談ください。