目次
- 優秀な人が辞めるデメリットやリスク
- 優秀な人ほど見切りが早いのはなぜ?
- 優秀な人が辞める兆候(サイン)
- 優秀な人が辞める理由と対策
- 優秀な人の退職に関するよくある質問
- 転職エージェントを活用して優秀な人材の流出を防ぐ
- まとめ
その他のお役立ちじょう
「優秀な人が辞めてしまう」という課題に直面する企業は少なくありません。報酬や待遇、労働環境、人間関係などに不満を感じると、優秀な人ほど早く見切りをつけます。優秀な人が辞めると、生産性や社員のモチベーションの低下につながりますので、対策が必要です。
本記事では、優秀な人が辞める理由や前兆、原因、防止策について紹介します。
優秀な人が辞めるデメリットやリスク
優秀な社員が辞めることは、会社にとって大きな損失につながります。
業務の質や生産性が低下する
業務の中心を担っていた優秀な人が辞めると、業務の質や生産性が低下します。残された社員の仕事量が増加するうえに、経験不足やスキルの違いからミスが増え、最終的な成果物のクオリティが下がってしまう可能性が高いです。また、業務の指揮をとり効率化を図る人がいなくなることも、チーム全体の生産性低下につながります。
社員のモチベーションが下がる
周囲に良い影響を与えていた社員が辞めると、他の社員のモチベーション低下にもつながります。優秀な人とともに働くことで成長を実感している人も少なくありません。最悪の場合は、連鎖的な退職を引き起こすこともあるでしょう。
採用や教育にかかるコストや負荷が増える
社員が辞めるたびに、新たな人材を採用し育成する必要があります。時間とコストがかかるため、その穴を埋めるのは簡単ではありません。求人広告の掲載費用や採用プロセスにかかる時間、さらに採用した人には研修やOJTを提供する必要があります。 即戦力の人材を採用できた場合でも、社内のルールや文化に適応するまでには時間がかかるため、すぐに以前と同じパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
優秀な人ほど見切りが早いのはなぜ?
優秀な人ほど突然辞める傾向があります。その理由を見ていきましょう。
転職活動ですぐに内定が決まる
優秀な人材は即戦力として働けるスキルや実績を身につけており、転職活動ですぐに内定が決まる傾向にあります。企業側は他社に取られる前に採用したいと考えるため、予定より早く内定が出て、意図せず急な退職になる場合もあります。また、応募書類や面接も入念に準備しているのも、内定が早く決まる要因でしょう。
もっと待遇の良い会社からオファーが来る
優秀な人材は、転職市場において高い評価を受けることが多いです。ヘッドハンティングやスカウトなどもあり、より良い条件のオファーを得られるため、現職を辞めるのが早くなります。
長期的な視野でキャリア設計を考えている
優秀な人は、長期的な視点でキャリアを考えている人が多いです。そのため、このまま同じ職場で働き続けても成長できないと感じたら、新たな職場を探す準備を始めます。
業界や会社の状況を研究・分析している
優秀な人は、業界全体の動向や会社の将来性について敏感です。情報収集能力が高く、企業の財務状況や市場の変化を的確に分析できるため、経営状態の悪化や業界の衰退を察知した場合、早い段階で次のキャリアを考え、転職を決断します。
行動力や決断力がある
「転職を考えているけれど、なかなか動けない」という人は多いですが、優秀な人は違います。情報収集をしながら、自分に最適な選択肢を素早く見つけ、面接や選考に進む行動力を持っているのが特徴です。変化を恐れずより良い環境を求めて積極的に動くため、転職のスピードも速くなります。
優秀な人が辞める兆候(サイン)
突然退職したように見えても、実際にはその前から小さなサインが表れていることが多いです。仕事への取り組み方や職場での態度の変化など、見落としがちな兆候を理解しておけば、企業側も早めに対策を講じることが可能です。
仕事への積極性がなくなった
これまで率先して業務を進めていた社員が、急に受け身の姿勢に変わることがあります。例えば、会議での発言が減ったり、新しい仕事に対する意欲が低下したりするのは、退職を視野に入れている可能性が高いです。とくに、長期的な業務や新しいプロジェクトへの関与を避けるようになった場合は注意が必要です。
改善策の提案や反対意見を言わなくなった
優秀な人は、業務の効率化や職場環境の改善に関心を持ち、積極的に提案する傾向があります。しかし、退職を考え始めると、職場の将来性に興味を失うため、改善策の提案や反対意見を言わなくなります。以前なら納得できないことにはしっかり反対意見を述べていたのに、何も言わずに受け入れるようになった場合は、すでに退職を決意している可能性があります。
キャリアやスキルアップについて質問しなくなった
キャリアパスの話題に関心を示さなくなると、「今の会社で長く働くつもりがない」という心理の表れとも考えられます。転職活動中の人は、新しい環境でのキャリア形成に意識を向けるため、今後のキャリアについて上司や同僚に相談しなくなることが多いです。
社内の雑談や飲み会に参加しなくなった
休憩時間の雑談や仕事終わりの飲み会などは、職場の人間関係を良好に保つための手段の一つです。しかし、退職を検討している人は、転職活動を周りにバレないようにするためにも、自然と職場の人との関わりを減らすようになります。すでに転職を決め、人間関係を整理し始めている可能性が高いです。
残業することが減った
優秀な人ほど責任感が強く、仕事にも熱心に取り組むため必要に応じて残業することが多いです。しかし、残業をせずに定時で帰るようになったら、現職の仕事に対する意欲が低下していることの表れかもしれません。
有給休暇・時間休の取得が増えた
退職を考えている人は、有給休暇・時間休の取得が増える傾向があります。面接や企業訪問の予定を入れたり、退職する前に残っている有給休暇を消化しようとしたりしている可能性が考えられます。
キャビネットやフォルダ、デスクを整理する
退職を考えている人は、デスクやキャビネット、パソコンのフォルダを整理し始めることが多いです。これは、新しい職場に移る準備の一環として、不要なものを処分し、業務の引き継ぎをスムーズに進めるための行動と考えられます。
周りの社員から心配する声が上がる
同僚や上司はチームメンバーの変化に敏感です。そのため、本人がとくに何も言わなかったとしても心配する声が上がることがあります。「最近静かになった」「仕事のモチベーションが低い」といった声が多くなれば、面談をしてみても良いでしょう。退職を考えていなくても、仕事の手を抜く「静かな退職」を決意している場合もあります。
優秀な人が辞める理由と対策
では、優秀な人はなぜ辞めてしまうのでしょうか。厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果」によれば、個人的な理由(その他の個人的な理由を除く)の中で退職理由として多いのは、以下の通りです。
男性
1位:職場の人間関係が好ましくなかった
2位:給料など収入が低かった
3位:労働時間や休日などの労働条件が悪かった
女性
1位:職場の人間関係が好ましくなかった
2位:労働時間や休日などの労働条件が悪かった
3位:給料など収入が低かった
参考元:厚生労働省 - 令和5年雇用動向調査結果
優秀な人が辞める理由として上記以外のものも理解し、企業が取るべき対策について考えていきましょう。
社内の人間関係が良くない
男女ともに退職の個人的な理由1位は人間関係が良くないことであり、優秀な人材ほど早々に見切りをつける可能性が高いです。職場の人間関係が悪いと簡単なことも相談ができず、ストレスが増え、業務の停滞にもつながります。
対策:社内コミュニケーションを見直す
企業が定着率を向上させるためには、風通しの良い職場環境を作り、社員同士が協力しやすい仕組みを整えることが必要です。以下のような対策が考えられます。
上司との1on1ミーティングを定期的に実施する
仕事で直接関わりのない社員を相談役につけ、客観的な判断をする
匿名のアンケートを行い、人間関係や業務への悩みを掘り出す
社内イベントを開催する
部署間をまたいだオンラインミーティングをする
席をフリーアドレスにし、社員自身に働きやすい場を選んでもらう
報酬や待遇に不満がある
報酬や待遇への不満も、退職理由として多い要素です。とくに優秀な人材は、自身の市場価値が高いことを知ると、能力に見合った報酬ではない職場の退職を考えるようになります。
対策:人事評価制度を見直し、給与基準や福利厚生を改善する
定期的に給与水準を見直し、適正な昇給やボーナスの仕組みを整えます。また、その仕組みを社員に示すことが重要です。成果だけでなく、チームへの貢献度など数字に表れない部分も評価対象に含めると、公平性が保たれます。評価のフィードバックを丁寧に行い、どのような点を改善すれば評価が上がるのかを明確に伝えることで、社員は成長の方向性をつかみやすくなるでしょう。
給与水準の見直しにはロバート・ハーフの年収ガイドがおすすめです。年収ガイドでは、給与水準や採用市場に関する最新動向などをはじめ、優秀な人材をの採用するヒントを記載しています。テクノロジー、業務改革(エンジニアなど)、経理・会計・財務、金融サービス、人事、サプライチェーンの分野に特化しています。
労働環境が悪い
長時間労働を強いられていたり、仕事を丸投げされたり、過度なプレッシャーをかけられていたりする職場では、責任感のある優秀な人ほど心身に負担がかかります。無理をして仕事への限界を感じれば退職しかねません。
対策:ワークライフバランスを改善する
企業は業務の見直しを行い、働きやすい環境を整えましょう。無駄な作業をなくし、残業や休日出勤をできるかぎり抑えることが大切です。フレックスタイム制度やリモートワークの導入や、有給休暇を取得しやすいよう経営層が率先して休暇を取得する姿勢を示すことも重要です。また、管理職のマネジメント力をつける研修を行い、社員それぞれに適したサポートが提供できるようにします。
労働・オフィス環境の改善方法については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:労働・オフィス環境を改善する6つの方法
成長の機会がない・やりがいが感じられない
仕事を通じて成長を実感できない環境では、優秀な人材が長くとどまることが難しくなります。優秀な人材は向上心が強い傾向があるため、新しいスキルを習得したり、難しい課題に挑戦したりすることで、自己成長を求めることが多いです。
対策:研修を行い、キャリアパスを示す
企業側は、研修制度を整えたり、挑戦の機会を与えたりすることで、成長意欲を持つ人材が定着しやすい環境を作ることが大切です。
定期的に研修を行う
eラーニングなど個人のペースで行える学習方法を提示する
資格取得にかかる費用を補助する
試験休暇を認める
社内のロールモデルを紹介しながら、キャリアパスを具体的に示す
新しい分野に挑戦できるよう社内異動の制度を整える
会社の経営方針を説明する
事業の意義をデータや利用者の声など、目に見える形でわかるようにする
仕事の柔軟性や自由度が低い
優秀な人材は決められた仕事をこなすだけでなく、業務の改善点や新商品の開発など新しいアイディアを思いつくことがあります。しかし、会社のルールが厳しく、そのアイディアを実行に移せない環境であると不満を感じるでしょう。
対策:仕事の裁量権を与える
企業は保守的な経営体制を改め、社員一人ひとりの適性やスキルを考慮しながら業務を割り振ります。任せきりではなく、必要に応じてサポートが行えるよう体制を整えることも求められます。経営陣から承認を得るまでの社内交渉のプロセスを簡素化することも、社員のやる気を引き立てるでしょう。日頃から、社内アンケートや会議などを通じて社員の意見を聞く姿勢を持つことが大切です。
離職率を下げる事例や具体的な取り組み方については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:離職率とは?計算方法や業界平均、事例、取り組むべき施策15個を解説
起業や独立、大学進学や海外留学などポジティブな理由も
優秀な人材が会社を辞める理由は、必ずしもネガティブなものばかりではありません。起業や独立、大学進学、海外留学など、自らのスキルや経験を活かしたり伸ばしたりするために辞めるケースもあります。
ポジティブな理由で退職する人材は、企業にとって貴重な存在です。短期的に見ると人材流出に思えるかもしれませんが、長期的に考えれば、新たな成長を遂げた社員が再度企業と関わりを持ち良い影響をもたらす可能性もあります。退職後もつながりを保ち、互いにメリットのある関係を築くことが重要です。
優秀な人の退職に関するよくある質問
優秀な人の退職に関するよくある質問を紹介します。
優秀な人材の退職が続く場合、どのように対応すればいいですか?
優秀な人材の退職が続く場合、まずは退職の理由を正しく把握することが大切です。具体的には、退職者へのヒアリングを行い、何に対して不満を抱えていたのかを分析します。
また、退職者は理由をはっきりと答えないこともあるため、在職中の社員に意見を聞いても良いでしょう。エンゲージメント調査や1on1ミーティングを通じて、職場の課題を把握し、早めに対策を講じることでさらなる離職を防ぎます。
関連記事:定着率とは?計算方法や平均値、離職率との違いや改善策を詳しく解説
転職を考えている優秀な人材を引き留めるにはどうしたらいいですか?
転職を考えている優秀な人材を引き留めるには、その人が何を求めているのかを正しく理解し、それに応じた対応をすることが必要です。
まず、本人の不満や希望をヒアリングし、転職を考える理由を明確にします。例えば、給与面が問題であれば、給与交渉や昇進を打診し、キャリアアップを求めている場合は、新しいプロジェクトを任せるなど、成長できる環境を用意することが有効です。
ただし、すでに転職を考えている場合は、対策を講じるのが遅いこともあります。無理に引き留めるのではなく、本人の意思を尊重し、円満退職を目指すことも方法の一つです。態度や言動に退職の兆候が表れるまえに、日頃から社員の意見を聞き取る姿勢が求められます。
関連記事:カウンターオファーを提示する前に考慮すべき5つのポイント
退職後も優秀な人材と関係を維持することはできますか?
退職後も優秀な人材と関係を維持することは可能です。関係を維持しておくと、退職者が将来的に取引先やパートナー企業の一員として関わることもあれば、アルムナイ採用で戻ってくる可能性もあります。
退職後も関係を維持するためには、まず円満退職を心がけることが大切です。これまでの貢献に感謝を伝え、前向きに送り出すことで、良好な関係を築けます。
退職後に企業のニュースやイベントの案内を送ったり、アルムナイネットワークを作り退職者向けの情報を提供したりするなど、退職者とつながりを保っておけば、必要なときに協力を仰げるかもしれません。
転職エージェントを活用して優秀な人材の流出を防ぐ
転職エージェントを活用すれば、業界に詳しいリクルーターのサポートを受けながら、優秀な人材の流出を防ぐことが可能です。
業界や業種に精通したリクルーターに相談できる
転職エージェントには、各業界や職種に特化したリクルーターが在籍しているため、業界の情報収集をすることが可能です。例えば、現在の転職市場ではどのようなスキルが求められているのか、求職者が重視するポイントは何かといった情報を提供してくれます。データに基づいた客観的な見解を知ることができ、業務プロセスの見直しなどビジネス課題の発見につながることもあります。
給与水準や採用市場については、ロバート・ハーフの年収ガイドがおすすめです。テクノロジー、業務改革(エンジニアなど)、経理・会計・財務、金融サービス、人事、サプライチェーンの分野の最新動向がわかります。
採用のミスマッチを防ぐことができる
企業が優秀な人材を採用できたとしても、業務内容や職場環境とのミスマッチが生じると、早期退職につながるリスクがあります。転職エージェントを利用すれば、事前に企業と求職者の間で十分な情報共有が行われるため、ミスマッチを最小限に抑えることが可能です。
転職エージェントのリクルーターは、企業の求める人材像を詳細にヒアリングし、それに合致した候補者を紹介します。また、求職者にも企業の業務内容や職場環境について正確に伝えます。企業と求職者の双方が納得した状態で採用が決まるため、早期退職のリスクが軽減され、採用コストの削減にもつながるでしょう。
入社前・入社後のフォローアップをしてくれる
入社前後のフォローアップを通じて、求職者の不安を解消できるのも、転職エージェントを利用するメリットです。
入社前の段階では、企業との間に入り、求職者に雇用条件などの説明を丁寧に行います。複数の企業から内定をもらっている求職者の場合は、転職先を最終決定するための切り札にもなるでしょう。
また、契約社員のポジションの場合、入社後の新しい職場に馴染めない数か月間も定期的に求職者と連絡を取り、職場での悩みや課題のヒアリングを欠かしません。必要に応じて企業側にフィードバックを行うこともあります。入社前だけでなく、入社直後のミスマッチも防ぐことで、人材の流出が抑えられます。
優秀な人を採用するためのアドバイスがもらえる
転職エージェントは、採用市場の最新情報を把握しているため、優秀な人材を採用するための適切なアドバイスが受けられます。これまでの採用方法や採用プロセスを見直したうえで、適性テストの実施やレベルに合わせた業務配分など、優秀な人材の見落としを防ぎながらその人材のニーズに応えていく方法が得られるでしょう。
優秀な人材を惹きつけるには、企業の強みをアピールすることが重要です。転職エージェントの協力を得ることで、企業自身が見落としていた魅力を見つけ出し、競合他社とは違った新たなアピールができることもあります。
まとめ
採用のご相談はこちら
優秀な人材が辞める理由は、報酬や待遇の不満、労働環境の悪化などさまざまです。辞める前には、仕事への積極性が失われるなど兆候があるので、見逃さないように気を付けましょう。
ロバート・ハーフでは、専門性の高いコンサルタントが、優秀な人材の離職を防ぐための給与ベンチマークや報酬・待遇に関するアドバイスを提供しています。外資系・日系を問わず、グローバル企業への支援実績も豊富です。貴社の求めるスキルや経験にマッチする人材のご紹介も可能ですので、ぜひご相談ください。