コラボレーションが非常に重視される今日の職場環境で成功するには、優れたヒューマンスキルが欠かせません。また、多くの会社が、問題解決やクリティカルシンキング(批判的思考)の能力の高い社員を求めています。これらのスキルは、革新の基本となるためです。さらに、自信や起業家精神、知識欲といった、あまり有形でない資質も求められています。
とはいえ、あらゆるヒューマンスキルのなかで最も重んじられているのは、確実なコミュニケーションスキルかもしれません。これには、話すスキル、書くスキル以上のものが含まれます。例えば、メールからソーシャルメディアや動画まで、さまざまな手段で効果的にコミュニケーションできる必要があります。また、聞くスキルに秀で、仕事中に自分が見せるボディランゲージに対しても自覚がなければなりません。さらに、相手がどのように情報を受け取り、どのようにコミュニケーションすることを好むかも、敏感に察知しなければなりません。
しかも会社は、入社初日から、あなたが非常に洗練されたヒューマンスキルを発揮することを期待するでしょう。このように高い期待がかけられる背景には、2つの理由があります。
第一に、ビジネスのスピードが驚異的に加速していて、新入社員が戦力になるまで待つような余裕がほとんどなくなっています。
第二に、多くの会社は、将来を見込んで人材を採用しています。会社とともに成長し、最終的にリーダーシップの役割を担えるようになる社員に投資したいと考えています。その潜在性を計るうえで、ヒューマンスキルは重要な指標となるのです。
では、キャリアの成功に必要なヒューマンスキルは、どのようにすれば開発できるのでしょうか。
就職活動中
ヒューマンスキルは、就職活動中、自慢話のようにならずに自己PRするのに役立ちます。これは芸術の域とも言える技ですが、能動的に相手の話を聞き、明確にコミュニケーションすればするほど、自然な流れで自分のこれまでの功績に言及する機会が見つけやすくなるものです。例えば、新規顧客開拓で重要な役割を果たした同僚を称賛しながら、自分が似たようなことを達成した時の気持ちを話して共感を示すことができるかもしれません。コツは、すぐに同僚の功績に話を戻し、同僚からスポットライトを奪ってしまわないことです。
面接の際にヒューマンスキルの例を出すこともできます。「コミュニケーションスキルがあります」のようなお決まりのセリフではなく、あなたらしくヒューマンスキルを発揮したエピソードを語ることです。例えば、前職で必要な妥協をお客さまに受け入れてもらった経験があれば、それについて話すことができるでしょう。
面接中にヒューマンスキルを示すもうひとつの方法として、ひととおりの質問への答えは用意しておきながら、自分の答えの意図が相手に確実に伝わったと思い込まないことが挙げられます。質問に答えた後で、「ご質問にきちんとお答えしましたでしょうか?」などと聞いてフィードバックを求めると効果的です。これにより、謙虚さと、面接のプロセスに対する真摯な姿勢を示すことができます。
採用後
優れたヒューマンスキルがあることを示せれば、採用に漕ぎ付けるうえで有用です。でも、キャリアアップを目指し、特にリーダーシップの役職に就くことを目指すのであれば、ヒューマンスキルを常に磨いていく必要があります。何年も社会で働いてきたプロフェッショナルですら、より良いコミュニケーター、より良いリーダーになるための方法を学び続けています。
そこで、ヒューマンスキルを開発・向上するための方法をいくつかご紹介します。
共感を示すこと、聞き上手になること、ユーモアを織り交ぜること、チームワークを心がけること、同僚の功績を認識すること、これらに注意を払います。同僚との毎日のインタラクションは、ヒューマンスキルの練習という点で多岐にわたるチャンスを無限に提供してくれます。
リーダーシップを取る機会、革新的な発想をする機会、学習する機会、問題の解決法を提案する機会を、仕事中に積極的に探してみてください。コンフォートゾーンから定期的に踏み出してみることは、ヒューマンスキルを高めるだけでなく、周囲から認識してもらい一目置かれるようになるうえでも重要です。
クラスを受講するのも有効です。パブリックスピーキングのクラスであれ、リーダーシップのワークショップであれ、生涯学習を通じてヒューマンスキルを磨く方法はいくらでもあります。大学や業界団体をはじめ、正式なトレーニングを提供している場所は枚挙に暇がありません。
最も重要なのは、これらの努力をできるだけ早くから始めて、ヒューマンスキルを自分の長所とすることです。これらのスキルはどこへ行っても求められるうえ、将来の成功において重要な役割を果たすでしょう。
ヒューマンスキルは常に「オン」であることを忘れない
就職活動中や仕事中のみヒューマンスキルを発揮すればよいというわけではありません。プロフェッショナルとして他人とかかわる場面では、必ず会話に何らかの価値をもたらして、その場面を最大限に活かします。プロフェッショナルとしても一個人としても、相手に対して純粋に興味を持ち、相手にとって重要なトピックに話題を集中させます。相手の見方に耳を傾け、思いやりのある発言をして、可能なかぎり相手を助けることです。ふとしたことで出会った相手が、いずれは同僚になったり、転職先でお客さまになったりすることはあるものです。
能動的に聞くスキルなどのヒューマンスキルは、好印象を与えるのに役立ちます。しかし、相手の認識を操作する小手先の技ではないことに注意してください。誠意をもって相手に接し、新しい機会を見つける、ポジティブに物事を運ぶ、共通点を見つける、有意義なつながりを作るといった目的にヒューマンスキルを使うべきです。それを実践していれば、すばらしい仕事が向こうからやって来るでしょう。