最近、企業において「従業員のワークライフバランス向上を目的にワークフローを整備する」というコンセプトが評価されるようになっています。より多くの企業にその考えが浸透しつつあり、各国の政府もまたその動きを支持する法律の整備を始めています。

最近、フランス政府が1週間の労働時間を35時間に減らしました。アメリカでは規模の大きい企業を対象に従業員の家族が重い病気にかかった際の無給休暇の付与が義務付けられ、オーストラリアでも18週間の有給育児休暇制度が制定されています。いずれの取り組みもワークライフバランスの戦略が実施された素晴らしい事例です。

労働時間

柔軟性のある勤務時間が認められ、パートタイム制・時間交代制の勤務が可能になると、従業員の仕事満足度や生産性、そしてモチベーションを大きく向上させることがわかっています。さらに、従来よりも柔軟な雇用契約を提供することで従業員の離職率を下げ、雇用を安定させるとともに、常習的欠勤を減らすこともできます。

ニコラス・ブルーム教授の調査(英語)によれば、従業員が自宅勤務を選択できるようにしたところ、社内に残った人と比較して掛けた電話の数に13.5パーセントの増加がみられ、従来の勤務形態の代わりとなるものを提供することにより従業員の生産性に良い影響があることが示されました。

上記の働き方はすべての職場に適用できるものではありませんが、柔軟性のある勤務時間を導入することにより、家庭と職場の双方において生活全般の効率を高めることができます。従業員に歩み寄り、効率的なワークライフバランス戦略を発展させることにより、雇用主の利益にもなる従業員の積極的な姿勢と態度を促すことができるでしょう。

テクノロジーとつながる

日々の職務において従業員のタスク完遂を助ける技術を積極的に取り入れることもワークライフバランスの戦略として役立ちます。

家族や同僚とのカレンダー共有を奨励しましょう。離れた部署にいる同僚とスケジュールを調整しやすくなりますし、家庭でも仕事上の約束が把握しやすくなるでしょう。共有する情報が増えることで、公私ともに時間のやりくりに追われているという感覚を緩和できるかもしれません。

大半のオフィス向けEメール管理システムやグループカレンダーにこうした管理機能が備えられているほか、Evernoteのようなプラットフォームを利用するのもおすすめです。すべてのデバイス間でメモ、やることリスト、写真、一般的な予定通知機能を同期することが可能で、従業員がどこにいても必要なものすべてにアクセスを確保できるようになります。

家族の時間

企業としては従業員の家庭の事情に理解を示すことも不可欠です。地元の保育施設情報を提供したり、学校や保育園の送迎のため少し早めに仕事を切り上げたりする必要がある場合に柔軟さを提供するといった配慮が職場での人間関係構築に大きなプラスとなるでしょう。

育児・介護休暇取得に関する就業規則を手厚くすることが人材の定着と雇用の安定につながり、仕事と私生活のバランスを気に掛ける従業員がその重要性を知り、安心して働けるようになります。こうした取り組みが前向きなイメージとなって社外にも広まり、優れた雇用主としての企業の評判が維持、強化されることにつながるでしょう。