リーダーの素質とは何か?「ゲーム・オブ・スローンズ」を分析してみるとその答えが見えてきます。ウェスタロスに冬が来た今、「鉄の玉座」にふさわしいリーダーを特定してみませんか?
リーダーの素質が、時代や文化、環境によって大きく変わることはありません。七王国間の覇権をめぐる戦いは、多くの意味でビジネス界のリーダーシップをめぐる競争に通じるものがあります。上層部の地位が空席になれば、必ず、それぞれ異なったリーダーシップスタイルやスキル、魅力、動機を持った人が興味を示します。人事担当者は、「王国」という組織のニーズを考慮し各人の強みを比較評価した上で、「ゲーム・オブ・スローンズ」のどの登場人物がリーダーとして最適かを見極める必要があります。
もしも七王国で、ビジネス界の指導者の地位が争われていたなら、最強の候補者となりうるキャラクターは誰でしょうか?「ゲーム・オブ・スローンズ」の登場人物から、リーダーの素質について学べることはあるのでしょうか?私たちの見方をご紹介します。
トメン・バラシオン
若き王トメンは、リーダーの素質を数多く持っています。無情で無謀な兄ジョフリーとは違い、トメンは賢く、思慮深く、謙虚な人物のようです。しかし、年齢がネックとなっています。トメンは若すぎるため、後ろ盾となる陰の有力者なしには、軍を率いて統治することができません。また、決して王座に就くことのないだろう王子として温室育ちであるため、明らかに世間知らずなところがあります。強力なリーダーシップが必要とされる状況にあっては、トメンはまだ力不足でしょう。
判定:将来性はありますが、時期尚早と言えます。
教訓:若くして、管理職になることを熱望している人は、忍耐力を持ちましょう。今は臣下(部下)や同僚との親交を深める時です。そうこうするうちに、管理職への昇進が揺るぎないものになるはずです。
ジェイミー・ラニスター
ラニスター家出身で王の護衛でもあるサー・ジェイミー・ラニスターは、ハンサムでチャーミング、理知的で、強い責任感を抱いている人物です。しかし、優れた能力や人柄を備え、さらにはキャスタリーロックの強力な後ろ盾をも兼ね備えているにも関わらず、矛盾の多いキャラクターです。つまり、とても人には明かせない秘密が多すぎるのです。何しろ、「王殺し」の蔑称で呼ばれる人物です。こんな人にリーダーシップを任せられるでしょうか?働きの悪い同僚がいれば、自分の手で「懲罰」を下してしまうかもしれません。
判定:非常に有能ですが、リスクが高すぎます。
教訓:リーダーとなる人にとって、清廉潔白であることは重要です。二心ある裏切り者と一緒に働くことはもとより、そんな人を上司に持つなど、誰も望みません。
ロブ・スターク
ロブは当初、「北の王国」で皆に模範を示して士気を高め、優れた結果を出せる人物であることを証明しました。これは確かなリーダーの素質です。しかし、約束を守らず、アイデア不足であったことで、最後には残念な結果に終わってしまいます。物事の両面を見ることができず、結果として誤った判断を下してしまうのです。現実の話に当てはめるとするならば、ロブは役職への応募書類を撤回したというところになるでしょう。
判定:優れたリーダーの素質が垣間見えましたが、最終的に平常心を失ってしまいました。
教訓:重圧のかかる状況で冷静さと判断力を失えば、チームからの尊敬も失う可能性があります。それから、赤を基調色とする結婚式や社交の場には出席しないようにしましょう。
スタニス・バラシオン
スタニスは、自分が素晴らしいリーダーになれると信じています。でも、本人が思うほどの人物なのでしょうか?スタニスは、確かなビジョンと信念を持っていますが、周囲の意見(と魔術)に頼りすぎています。強力なチームに恵まれれば、その表向きの顔としては効果的に役を果たせる可能性があります。しかし、人柄の魅力に欠けるため、社員から愛されることはないでしょう。
判定:長所もあり、短所もある、中道の候補者と言えるでしょう。
教訓:他人の助けが必要な時や誰かが困っている時は、恐れずチームメンバーと話し合うことです。部下に心を開き、人間的な側面を見せるようにしましょう。あなたに共感することができるようになれば、部下は迷わずついてきてくれるはずです。
マージェリー・タイレル
教養があり、美しく、常に状況をわきまえているマージェリーは、表面的には、非常に素晴らしい印象を残す人物です。常に品格を漂わせ、どのレベルの同僚にも温かく接して、心を通い合わせることができます。しかし、この若き淑女は、無慈悲なまでに野心家で、欲しいものを手に入れる手段をしっかりと理解しています。マージェリーには、転職の多いジョブホッパーの特徴が多々見受けられます。短期に高い業績を上げ、さらに大きな獲物を探して転職していくタイプと言えます。
判定:頼れる人材ではありますが、どんな会社にとっても長期的な資産とはなりにくいでしょう。
教訓:同僚や部下には常に親切に接することです。昇進の機会があまりないと現状に感じているのであれば、転職を考えるか、交渉する術を学びましょう。
デナーリス・ターガリエン
「ドラゴンの母」、デナーリスを登用すれば、必ずや現状を一新できるでしょう。デナーリスは、進んで重大な決断を下し、素晴らしい人材管理能力を発揮する人物です。また、学習能力が高く、機転を利かせることもできます。現状を打破して軌道修正してくれる人を求めているのであれば、デナーリスこそが適材かもしれません。しかし、無慈悲な面があり、妥協は一切許しません。彼女に完全な裁量権を与えることができなければ、うまくはいかないでしょう。
判定:才能はありますが、一匹狼タイプです。他人と協調して働くのは難しいでしょう。
教訓:デナーリスは、強い女性リーダーの見本です。意志が固く、人と感情的につながることができ、どんな障害にも負けません。チーム一人ひとりの動かし方を熟知していて、信頼できる部下のアドバイスを基に行動を計画します。これらはすべて賢いリーダーの素質です。
ジョン・スノウ
優れたスキルと豊富な経験、高いポテンシャル、それに天性のリーダーシップスキルを持った人物を探しているのであれば、ジョン・スノウこそ適任でしょう。決して完璧な人間ではありませんが、修練を積んでいて適応力があり、「冥夜の守人」の一員として困難な状況で働くことにも慣れています。エゴや見返りにとらわれることなく仕事を遂行し、全体的なミッション、文化や、目標を皆が受け入れられるよう周囲を盛り立てます。いろいろな意味で、将来のスターと言えるでしょう。
判定:ジョン・スノウは、洗練されたビジネスリーダーの素質を多く備えています。
教訓:ジョン・スノウは、人になんと思われようが気にしません。仕事に誇りを持ち、自ら果たすべきことを理解しています。同じように、過去の失敗も問題ではありません。大事なのは今、そして将来、どんな貢献ができるかということです。目的意識があれば、どんなことでも達成できます。
もちろん、これら「ゲーム・オブ・スローンズ」の登場人物は架空のもので、ここで見出したリーダーの素質もあくまでも仮想に過ぎないのですが、リーダーシップスキルとマネジメントスキルを向上することは誰にとっても重要です。
すでに上位の管理職に就いている人でも、客観的な自己分析を忘れず、自分に必要なリーダーの素質を身に着けるための成長や学習を常に求めるべきです。それが、キャリアで成功し、充実感を得る唯一の方法です。