ワーママが直面する課題とは? キャリアアップを目指すワーママが意識したいこと ワーママリクルーターからのアドバイス
近年、子育てをしながら働くワーキングマザーの数は、年々増加しており、2019年の厚生労働省の資料によると、令和元年の女性就業者数は2,992 万人となり、前年に比べ 46 万人増加(割合では1.6%増)しています。出産後に職場復帰を果たし、子育てをしながら働くワーキングマザー(ワーママ)は、労働人口が減少している日本では特に、貴重な存在です。 最近では、育休復帰支援の一環として子の看護休暇を有給とする企業や、独自の育児支援制度を導入する会社も増えてきています。一方で、ワーママのキャリア形成や転職活動をサポートする仕組みや体制は、まだ十分とは言えなく、転職活動に対して不安を感じる方は多いのではないでしょうか。 この記事では、自身もワーキングマザーとして、キャリアアップを実現したロバート・ハーフの経理・会計・財務部門の採用を担当するアソシエイトディレクターのジェイヴィ・シランさん(@Jayvie Silang)のインタビューをもとに、ワーママが転職活動やキャリアアップを目指す上で直面する課題と、それらを乗り越えるための実践的な5つのヒントについて解説します。
家事・育児の負担が女性に偏りがちな日本では、ワーママが転職活動やキャリアップをする中で直面する課題は多々あります。その中でも多くのワーキングマザーが直面する課題をご紹介します。 ワークライフバランスの難しさ 家事や育児の負担が大きい日本で働くワーママにとって、仕事上の責任を果たすと同時に家庭においての責任を果たすことは、とても容易なことではありません。特に、日本では海外に比べ、育児支援のサポートが十分にいきわたっていない現実もあります。 リンナイ株式会社が2019年に行った「ワーキングママの育児事情」に関する調査によると、アメリカのベビーシッター利用率は52.0%、スウェーデンの保育サービス利用率は77%。一方で、日本国内ではベビーシッター利用率は7.0%、保育サービス利用率は25%という結果でした。この通り、日本のワーママにとってワークライフバランスの実現は非常に大きな課題といえるでしょう。 産休・育休後のキャリアアップに対する不安 ユームテクノロジージャパンが2022年に「直近1年以内に育休が明けて正社員として職場復帰した女性」を対象に行った調査によると、「あなたは育休から復帰した後に『壁』に直面した経験はありますか?」という質問に対し、24%が「かなりある」、53.7%が「ややある」と回答しました。そして、そのうちの46.6%が「育休前に積み上げたキャリア/ポジションが維持されない」、27.4%が「事業や会社の方向性がつかめない」、25%が「今までのスキルや経験が活用できない」などの、具体的な「壁=課題」を挙げています。 こうした調査結果から、育休後に職場復職をスムーズにできたとしても、それまで積み上げたスキルやキャリアをその後さらに伸ばしていくこと自体に不安や課題を感じているワーママが多いという現実が伺えます。 新しい働き方にあった企業文化やサポート体制を見つけられない ワーママは職場復帰後も学校行事や子供の体調等によって欠勤をせざるを得ない状況が多々発生します。育休前と同様の働き方、時間の使い方ができなくなるため、自分の業務範囲が狭まり、キャリアアップに必要な自己研鑽がなかなかできない、ということに焦りやフラストレーションを抱えているワーママは多いことでしょう。家庭での子育てルーティンおよび職場での時短ルーティンなど、新しい環境に慣れるまでにはかなりのエネルギーを要し、非常にストレスの高い状態が続くことでしょう。だからこそ、職場や家庭でのサポート体制を整えることは必須といえるでしょう。 出産を機に離職したのちのブランクに対する不安 ワーママの中には出産を機にいったん離職し、育児がひと段落したのちに再就職したいと考える人も少なくないでしょう。ただし、数年社会から離れてしまったら、また仕事が見つかるのだろうか。これまで培ってきた自分のスキルやキャリアをどう活かしていけばよいのか。そんな不安を抱えているワーママも多いのが現状です。子供との時間も大切にしつつ、会社にとって必要な人材で居続けたいという気持ちや、周りの同期や後輩社員のキャリアアップについていけないことに対する焦りを感じているワーママも少なくありません。
では、世のワーママたちが直面する心身的なハードルはどうようにして乗り越えていけばよいのでしょうか。ロバート・ハーフの経理・会計・財務部門のアソシエイトディレクターであるジェイヴィさんは、転職やキャリアアップを目指すワーママに向けて、以下のアドバイスを送ります。 タイムマネジメントを学ぶ 1つ目はタイムマネジメントを学ぶことです。ワーママには日々、仕事と家事・育児における数えきれないタスクがありますが、それぞれに使える時間は限られています。その時間を最大限有効に活用するためには、物事の優先順位を適切に定めることが必要です。まずはやらなければならないことを洗い出し、それらを最小のタスクに切り分けていきましょう。すべてを一人で、一度に終わらせる必要はありません。家族とも相談しながら育児の分担やタイムラインを決めていきましょう。 仕事に関しても、優先順位を整理した上で、現実的な期待値を設定することが大切です。周りからのサポートが必要な場合は、上司や同僚とオープンにコミュニケーションをとりながら、調整することも重要です。そうすることで、職場全体でチームが同じ目標に向かいながら支えあう文化を醸成することができるでしょう。ジェイヴィさんは、「すべてを自分一人でやらなければいけないと思いこまないことがポイント」と言います。 家族や周りの人を巻き込む 2つ目のポイントは、協力してもらえる人には遠慮なく頼るということです。転職をする際には、仕事でのルーティンだけでなく、家庭でのルーティーンも大きく変化するため、ストレスを感じること多々あるでしょう。そのため、夫婦間だけではなく、双方の親族や親しい友人などにサポートを巻き込んで、周りの人に頼ることも重要です。何に困っていて、どのような支援をしてもらえると有難いのか、その点をクリアにしてコミュニケーションをとると、より円滑にサポート体制を整えることができるでしょう。 コミュニティでつながる 3つ目のポイントは同じような経験をしているワーママとコミュニティでつながることです。他のワーママたちとつながることで、実践的かつ具体的に役立つアドバイスを参考にすることができ、その人たちをロールモデルとして観察・分析することで、育児とキャリアアップのバランスをとる方法についても多くを学ぶことができます。 実際に他の職場でワーママが体験していることや、転職活動をする際の時間の使い方やコツ、最新のトレンドなどをシェアし合うことで、家族や上司とのコミュニケーションとは異なる視点での気づきがたくさん得られるでしょう。 転職は焦らずサポートを受けることがおすすめ 4つ目のポイントは、転職は焦らず、時間をかけて意志決定をすることです。転職先の企業を選ぶ際には、仕事の裁量性や柔軟性、子育てを考慮したライフスタイルとのカルチャーフィット、自分のこれまでのスキルやキャリアが活かせるかなどに関して、綿密に情報収集と分析を行いましょう。 忙しいがために、目の前のものに飛びついてしまいたくなるかもしれませんが、今後のワークライフバランスと、それに伴う自分と家族の幸せを左右する職場選びは、家族とも話し合いながら検討を重ね、慎重に行う必要があります。 転職エージェントのサポートも最大限活用しながら、今の自分にできること、今後のキャリアに関して望むこと、そして家族とのライフプランをしっかりと考え、自分なりのワークライフバランスが実現できそうな転職先を見つけていきましょう。 契約ベースのポジションも視野に フルタイムのポジションに戻るには、不安を抱えている間は、契約ベースのポジションを検討してみることも良いかもしれません。期間限定のプロジェクトや短時間の勤務など、様々な形態の契約ベースの仕事があります。自分のペースで働けるというメリットもあり、キャリアブランクを埋めるためにも有効的です。 また、キャリアブランクが気になる方は、LinkedInなどのオンラインプラットフォームで提供されているコースや、資格取得のためのコースなどを活用することで、スキルアップを図ることもできます。学んだことを転職活動の際にアピールすることで、競争力を高めることができるでしょう。「どんな経験からも必ず学べることがあるはず」とジェイヴィさんは語ります。情報収集をする上で、自分のスキルを今後どのように生かせるか、どのような仕事の選択肢があるかを知るために、転職エージェントのコンサルタントに相談をしてみることもおすすめです。
日本社会において、ワーママを取り巻く環境は厳しい現状ですが、ジェイヴィさんはエールを送ります。 「何よりも、セルフケアを最優先することが大切です。理解やサポートが完璧なパートナーや仲間を見つけることよりも、自分自身の心と体の健康を優先しなければ、自分の生活を支えているものすべてが簡単に崩れてしまいます。 そして、一番大切なことは、自分自身を信じること。会社員として、子を育てる親として、自分の至らなさを感じることもあるかもしれません。でも、それはすべて、母親として、そして一人の人間として成長する素晴らしい物語の一部です。毎日何かしらの試練があるかもしれませんが、小さな成功を称えることと、自分を労うことを忘れないでください。失敗に終わってしまったことでも、些細なマイルストーンでも、自分を褒めることを忘れずに。きっと、そんな気づきこそが、母としての強さと成長を支える土台となるはずです」 転職をお考えの方や、今後のキャリアについて相談をご希望の方は、お気軽にロバート・ハーフご相談ください。ウェブサイトより、求人検索でご自身に合った求人を見つけていただいたり、履歴書をご提出いただけます。